2023年6月8日追記先日、yahooニュースでこんな記事が出ましたね。都内診断98%ビタミンD不足ニュースによれば、東京都内で健康診断をうけた人の血液を調べた結果ビタミンD不足だったというもの。5,500人を対象に98%が不足と考えると、多くの人がビタミンD不足であるのは間違えないような気がします。ただ、ビタミンDが不足していると、骨粗しょう症や骨折のリスクが高まるということは良く知られているけれど、本記事の検査対象者は若い人が多く、骨粗しょう症に実感はわかないのではないでしょうか。本記事では、ビタミンDについて、摂取することによるメリット、骨粗しょう症や骨折以外に摂取することのメリットを解説していますので、是非読んでみてください。はじめに 日常生活で疲れを感じたり、体調がすぐれないと感じることはありませんか?そんな悩みを解決し、健康的な生活を送るための秘訣が【ビタミンD】です。この記事では、ビタミンDの効果や摂取方法、注意点などを詳しく解説し、より健康的な生活を送るためのアドバイスを提供します。ビタミンDの基礎知識を押さえようビタミンDは、私たちの健康に欠かせない重要な栄養素です。以下に、ビタミンDの基礎知識を詳細に解説します。【ビタミンDの種類】ビタミンDには主に2つの形態があります。ビタミンD2(エルゴカルシフェロール):植物性食品や酵母から摂取できる形態のビタミンDです。ビタミンD3(コレカルシフェロール):動物性食品やサプリメントから摂取でき、また、日光によって皮膚で生成される形態のビタミンDです。ビタミンD3の方が、ビタミンD2よりも体内での利用効率が高いとされています。【ビタミンDの合成と摂取】ビタミンDは、主に以下の2つの方法で摂取・合成されます。食事:魚類(サケ、サバ、イワシなど)、卵、肉類、植物性食品、フォーティファイドフード(ビタミンDが強化された食品)などから摂取できます。日光:紫外線B波(UVB)により、皮膚でビタミンD3が生成されます。ただし、日焼け止めや衣服、窓ガラスなどはUVBを遮断するため、適度な日光浴が重要です。健康的な食生活でビタミンDを効率的に摂取しよう!ビタミンDが豊富に含まれる食品には、魚介類(鮭、サバ、イワシなど)、肝臓、卵、きのこ類(しいたけ、マイタケなど)があります。また、牛乳やヨーグルトなどの乳製品にも一部含まれています。日本人が1日に必要なビタミンDの摂取量の目安は、大人で5.5~8.5μgです。例えば、鮭の刺身100gを食べると約18μgのビタミンDが摂取できますが、毎日大量の魚を食べることは現実的ではありません。そのため、サプリメントを併用することで、必要なビタミンDを効率的に摂取することがおすすめです。【ビタミンDの機能】ビタミンDは、以下のような機能を持っています。カルシウム・リンの吸収促進:ビタミンDは、腸でのカルシウムおよびリンの吸収を促進し、骨や歯の形成・維持に役立ちます。骨密度維持:ビタミンDは、カルシウムと共に骨密度を維持し、骨折リスクを低減する効果があります。免疫機能の調整:ビタミンDは、免疫機能を正常に保ち、感染症や自己免疫疾患の予防に役立ちます。抗炎症作用:ビタミンDは、抗炎症作用を持ち、慢性炎症を緩和する効果があります。 5. 筋肉機能の改善:ビタミンDは筋肉の機能を向上させ、筋力や運動パフォーマンスの向上に寄与します。神経機能の維持:ビタミンDは、脳や神経系の健康を維持し、認知機能の低下を防ぐ効果があるとされています。【ビタミンDの推奨摂取量】ビタミンDの推奨摂取量は、年齢や性別、妊娠・授乳状況によって異なります。日本では、以下のような摂取量が推奨されています(2021年時点の日本の推奨摂取量)。・乳児(0~11か月):400 IU/日 ・幼児(1~2歳):600 IU/日 ・小児・成人(3~69歳):600~800 IU/日 ・高齢者(70歳以上):800 IU/日 ・妊婦・授乳婦:600~800 IU/日ただし、個人差や生活環境によって必要な摂取量が変わることもありますので、医師や栄養士と相談しながら適切な摂取量を決定することが望ましいです。ビタミンDで骨や免疫力をサポート!ビタミンDには、以下の効果・効能が期待できます。・骨の健康維持:ビタミンDはカルシウムの吸収を助け、骨密度を維持する役割があります。これにより、骨折や骨粗鬆症のリスクを減らすことができます。・免疫力の向上:ビタミンDは、免疫細胞の働きを活性化させ、感染症や自己免疫疾患の予防に役立ちます。・心血管疾患の予防:ビタミンDが血管の健康を維持し、動脈硬化や高血圧の予防に寄与するとされています。・抗酸化作用:ビタミンDは活性酸素を除去し、細胞のダメージを防ぐ抗酸化作用があります。これにより、老化やがんのリスクを減らすことができます。効果効能:ビタミンDで悩みを解決し、健康的な毎日を!ビタミンDがもたらす効果・効能により、以下のような悩みを解決できます。・骨が弱く、骨折しやすい・免疫力が低く、風邪をひきやすい・心血管疾患のリスクが高い・疲れが取れにくく、活力がないHolick, M. F. (2007). Vitamin D deficiency. New England Journal of Medicine, 357(3), 266-281.Autier, P., & Gandini, S. (2007). Vitamin D supplementation and total mortality: a meta-analysis of randomized controlled trials. Archives of Internal Medicine, 167(16), 1730-1737.The Japan Society for Clinical Nutrition and Metabolism. (2020). 日本人の食事摂取基準(2020年版).Amrein, K., et al. (2014). Effect of high-dose vitamin D3 on hospital length of stay in critically ill patients with vitamin D deficiency: the VITdAL-ICU randomized clinical trial. JAMA, 312(15), 1520-1530.Martineau, A. R., et al. (2017). Vitamin D supplementation to prevent acute respiratory tract infections: systematic review and meta-analysis of individual participant data. BMJ, 356, i6583.これらの研究やレビューは、ビタミンDが骨の健康、免疫力の向上、心血管疾患の予防などに効果的であることを示しています。ビタミンDの副作用と禁忌に注意しましょう!ビタミンDは、適切な摂取量であれば副作用のリスクが低いとされていますが、過剰摂取や特定の状況下では注意が必要です。以下に、ビタミンDの副作用と禁忌について詳しく解説します。【副作用】適切な摂取量を超えるビタミンDの摂取は、以下のような副作用を引き起こすことがあります。高カルシウム血症:ビタミンD過剰摂取により、血中カルシウム濃度が上昇し、腎臓結石や筋肉の痙攣、心臓の不整脈などのリスクが高まります。腎臓の石や石灰化:高カルシウム血症により、腎臓にカルシウムが沈着し、結石や石灰化が起こることがあります。消化器症状:吐き気、嘔吐、便秘、腹痛などの消化器症状が現れることがあります。神経症状:頭痛、めまい、過敏などの神経症状が現れることがあります。【禁忌】以下のような状況下では、ビタミンDの摂取が適切でない場合があります。サルコイドーシスやリンパ腫など、高カルシウム血症を引き起こす病気の患者さんは、医師と相談しながらビタミンDの摂取量を調整する必要があります。腎臓病や尿路結石の既往歴がある場合、ビタミンD摂取によるカルシウムの吸収が増加するため、医師や薬剤師と相談して適切な摂取量を決定してください。既存の病気や服薬中の方は、ビタミンDとの相互作用や副作用のリスクがあるため、医師や薬剤師と相談して摂取量を決定してください。ビタミンDと相性の良い成分でさらなる効果を期待!ビタミンDは、カルシウムやリンの吸収を促進し、骨や歯の健康を維持する働きがあります。また、免疫システムの機能や神経伝達物質の生成にも関与することから、全身の健康に寄与します。ビタミンDと相互作用が良いとされる成分は、その効果をより効率的に引き出す役割を果たします。以下に、ビタミンDと併用すると良いとされる成分をいくつか紹介します。カルシウム カルシウムは骨や歯を形成する主要な成分であり、筋肉や神経の働きにも関与します。ビタミンDは、カルシウムの吸収を助けるため、両者を併せて摂取することで骨の健康が維持されます。マグネシウム マグネシウムは、骨の形成に関与し、神経や筋肉の働きを調整する役割があります。ビタミンDとマグネシウムを併用することで、カルシウムの吸収が効率的に行われ、骨の健康が向上することが期待されます。ビタミンK ビタミンKは、骨の形成に関与するタンパク質を活性化する働きがあります。ビタミンDとビタミンKを併用することで、骨の健康がより効果的に維持されるとされています。オメガ3脂肪酸 オメガ3脂肪酸は、抗炎症作用や心血管健康に関与する成分です。ビタミンDとオメガ3脂肪酸を併用することで、免疫システムの機能が向上し、炎症を抑制する効果が期待されます。亜鉛 亜鉛は、免疫機能や細胞分裂、タンパク質の合成に重要な役割を果たします。ビタミンDと亜鉛を併用することで、免疫システムの働きが向上し、全身の健康維持が促されます。ビタミンA ビタミンAは、免疫機能や視力、皮膚や粘膜の健康に関与します。ビタミンDとビタミンAを併用することで、免疫力の向上や抗酸化作用が期待されます。ビタミンC ビタミンCは、抗酸化作用やコラーゲン生成に関与し、免疫機能の向上にも寄与します。ビタミンDとビタミンCを併用することで、免疫力の強化や皮膚・関節の健康が向上することが期待されます。ビタミンE ビタミンEは、抗酸化作用があり、細胞の酸化ストレスから保護する働きがあります。ビタミンDとビタミンEを併用することで、細胞の保護が強化され、免疫力が向上することが期待されます。これらの成分とビタミンDを併用することで、相互に効果が増強され、健康維持が効果的に行われると考えられます。骨だけでなく健康に必要な栄養素【免疫機能のサポート】ビタミンDは免疫システムにおいて重要な役割を果たします。特に、T細胞やB細胞などの免疫細胞の働きを活性化し、感染症や自己免疫疾患に対する抵抗力を高める効果があります。【心血管疾患のリスク低減】ビタミンDは、動脈硬化の予防や血圧の正常化に関与し、心血管疾患のリスクを低減するとされています。適切なビタミンD摂取は、心臓や血管の健康を維持する上で重要です。【筋肉機能の向上】ビタミンDは筋肉の機能を改善し、筋力や運動パフォーマンスの向上に寄与します。加齢に伴う筋力低下や運動能力の低下を防ぐためにも、ビタミンDの摂取が重要です。【抗酸化作用と抗炎症作用】ビタミンDは抗酸化作用と抗炎症作用を持っており、活性酸素を中和し、炎症を抑制します。これにより、慢性炎症や酸化ストレスに関連する疾患のリスクを低減する効果があります。【神経機能の維持と認知機能のサポート】ビタミンDは脳や神経系の健康を維持し、認知機能の低下を防ぐ効果があるとされています。アルツハイマー病やパーキンソン病など、神経変性疾患のリスクを減らす役割も期待されています。【糖尿病のリスク低減】ビタミンDはインスリン感受性の向上に関与し、糖尿病のリスクを低減する効果があるとされています。インスリン分泌やインスリン抵抗性の改善にも役立ちます。【抗がん作用】ビタミンDは細胞の成長や分化を調節する働きがあり、がん細胞の増殖を抑制することが報告されています。乳がん、大腸がん、前立腺がんなどのリスクを低減する効果が期待されていますが、まだ研究段階であり、より多くのエビデンスが必要です。【うつ病の症状の緩和】ビタミンDは神経伝達物質の生成や機能に関与し、うつ病の症状を緩和する効果があるとされています。低ビタミンDレベルとうつ病の関連性が指摘されており、適切な摂取が精神的な健康にも寄与します。ビタミンDが不足するとどうなる?欠乏症骨の脆弱化: ビタミンDはカルシウムの吸収を助けるため、ビタミンDが不足するとカルシウムの吸収が低下し、骨が脆弱になります。これは、骨折リスクの増加や、子供の場合はくる病(成長過程で骨が十分に硬化しない病気)の原因となります。歯の健康問題: ビタミンD不足は歯のエナメル質の形成に影響を与え、虫歯や歯周病のリスクが高まります。筋力低下: ビタミンDは筋肉の働きに関与しており、不足すると筋力低下や筋肉痛、運動パフォーマンスの低下が起こります。免疫機能の低下: ビタミンDは免疫機能に重要な役割を果たすため、その欠乏は感染症に対する抵抗力の低下や、自己免疫疾患の発症リスクの増加につながります。抑うつ症状: ビタミンDは神経伝達物質の生成に関与するため、欠乏すると抑うつ症状が現れることがあります。高血圧や心臓病: いくつかの研究で、ビタミンD不足と高血圧や心臓病との関連が示唆されています。癌リスクの増加: ビタミンDががん細胞の増殖や転移を抑制する働きがあることが示されており、不足すると一部のがん種に対するリスクが高まる可能性があります。妊婦さんには特に補給してほしい妊婦さんにおいても、ビタミンDは非常に重要な栄養素です。妊娠中のビタミンDの摂取は、以下の点で特に重要です。胎児の骨格発育: 妊娠中のビタミンDは、胎児の骨格発育に重要な役割を果たします。ビタミンDが十分に摂取されない場合、胎児の骨の成長が遅れることがあります。低体重児リスクの減少: ビタミンDが十分に摂取されている妊婦さんは、低体重児のリスクが減少することが報告されています。妊娠中の健康維持: ビタミンDは免疫機能にも関与しているため、妊娠中の感染症リスクを減らすことが期待できます。また、ビタミンDは骨密度を維持する役割があり、妊婦さん自身の骨の健康維持にも寄与します。ビタミンDと癌についてビタミンDは、癌との関連性についても研究が進められており、その抗がん作用が注目されています。ビタミンDは細胞の成長や分化を調節し、がん細胞の増殖を抑制する働きがあります。また、免疫システムを強化することで、癌細胞の除去を促進する効果も期待されています。ただし、ビタミンDと癌の関係については、現時点では決定的なエビデンスが得られていない部分もあります。以下に、ビタミンDと癌に関する最新の研究や論文をいくつか紹介します。McCullough ML, Zoltick ES, Weinstein SJ, et al. (2019) Circulating Vitamin D and Colorectal Cancer Risk: An International Pooling Project of 17 Cohorts. Journal of the National Cancer Institute. リンク: https://academic.oup.com/jnci/article/111/2/158/5045341この研究では、血中ビタミンD濃度が高い人が、大腸がんのリスクが低いことが報告されています。Bjelakovic G, Gluud LL, Nikolova D, et al. (2014) Vitamin D supplementation for prevention of cancer in adults. Cochrane Database of Systematic Reviews. リンク: https://www.cochranelibrary.com/cdsr/doi/10.1002/14651858.CD007469.pub2/fullこのCochraneレビューでは、ビタミンDサプリメント摂取による癌予防効果について、結論が定まっていないことが指摘されています。Feldman D, Krishnan AV, Swami S, et al. (2014) The role of vitamin D in reducing cancer risk and progression. Nature Reviews Cancer. リンク: https://www.nature.com/articles/nrc3691このレビューでは、ビタミンDが癌リスクや進行を低減する役割について、分子レベルでのメカニズムが解説されています。Shui IM, Mondul AM, Lindström S, et al. (2020) Circulating Vitamin D, Vitamin D-related Genetic Variation, and Risk of Fatal Prostate Cancer in the National Cancer Institute Cohort Consortium. Cancer Epidemiology, Biomarkers & Prevention. リンク: https://cebp.aacrjournals.org/content/29/7/1374この研究では、ビタミンDレベルや遺伝的変異が、前立腺がんのリスクや致死率に与える影響が調査されています。Feldman D, O'Malley BW. (202Feldman D, O'Malley BW. (2020) Vitamin D and breast cancer: Latest evidence and future steps. Breast Cancer Research. リンク: https://breast-cancer-research.biomedcentral.com/articles/10.1186/s13058-019-1215-5このレビューでは、ビタミンDと乳がんの関連性について、最新のエビデンスがまとめられています。ビタミンDの抗がん作用や遺伝子調節機能が、乳がんの予防や治療に役立つ可能性が検討されています。これらの研究を踏まえると、ビタミンDと癌との関連性はまだ十分に解明されていない部分がありますが、一部のがん種に対しては予防効果がある可能性が示唆されています。今後も引き続き、ビタミンDと癌に関する研究が進められることで、より明確なエビデンスが得られることが期待されます。まとめ本記事では、ビタミンDについて詳しく解説しました。ビタミンDは、骨や歯の健康を維持するだけでなく、免疫機能や神経伝達物質の生成にも関与する重要な栄養素です。日本人が1日に必要なビタミンDの摂取量は、年齢や性別によって異なりますが、一般的には成人で5~10μg程度が推奨されています。ビタミンDは、魚介類や卵、きのこ類などの食品から摂取することができますが、日光浴による体内生成も重要な供給源となります。ビタミンDの効果効能は、骨の健康維持や免疫力の向上、筋肉機能の改善など、様々な面で注目されています。最近の研究では、筋トレやダイエット、美容面での効果も期待されています。また、ビタミンDが癌予防に関与する可能性も研究されており、一部のがん種に対しては予防効果がある可能性が示唆されています。ビタミンDと併用することで効果が増強される成分には、カルシウム、マグネシウム、ビタミンK、オメガ3脂肪酸、亜鉛、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンEなどがあります。これらの成分とビタミンDを適切なバランスで摂取することで、健康維持が効果的に行われると考えられます。